Metabolite of the Weekでは、みなさまの研究にお役立ていただけますよう、代謝物質の機能や役割について紹介をいたします。
今回はγ-アミノ酪酸(GABA)について紹介をいたします。
γ-アミノ酪酸
- γ-アミノ酪酸(GABA)は、アミノ基とカルボキシル基を有するアミノ酸の一種で、微生物、植物、動物に普遍的に存在します。「Gamma-aminobutyric acid」の頭文字をとり、「GABA」と呼ばれて一般にも広く知られています。
- GABAはタンパク質を構成しないアミノ酸ですが、高等動物の神経伝達において非常に重要な役割を担います。
- 哺乳類では、グルタミン酸が主な興奮性神経伝達物質であるのに対し、GABAは主な抑制性神経伝達物質です。これらのバランスは神経系の正常な発達と機能に重要です。
- ヒトでは、GABAの信号伝達はGABAAとGABABという2つの受容体を介して行われます。GABAAはイオンチャネル型受容体でミリ秒単位の素早い反応を担い、GABABはGタンパク質共役型受容体(代謝型受容体)で数百ミリ秒ほどの遅い反応を担います。また、GABAC受容体と呼ばれる種類の受容体も存在しますが、これは現在ではGABAA受容体の一種として分類されており、GABAA-ρ受容体と呼ばれています。
- ヒトのGABAシグナル伝達の異常は、統合失調症、不安神経症、その他の神経認知障害と関連があると考えられています。遺伝学的研究により、GABAA受容体をコードする遺伝子の一塩基多型(SNP)は、これらの疾患の有病率の増加に関連することが報告されています。
- GABAは、哺乳類以外の真核生物や植物などにおいても重要なアミノ酸です。植物では、乾燥や虫害などの環境ストレスに応答してGABA濃度が上昇することが示されています。
- 哺乳類の神経系では、GABAは主に興奮性の神経伝達物質であるグルタミン酸から生成されます。また、ポリアミンの一種であるプトレシンから産生される経路も存在することが報告されています。また、植物ではTCA回路のバイパスとなる“GABA shunt”と呼ばれるGABAを介した経路が重要な役割を持つことが示唆されています。
- GABAは神経伝達物質としての機能以外にも様々な働きをもつことが知られており、GABAが含まれる食品・製品が多く販売されています。特定保健用食品においては「血圧が高めの方に」というヘルスクレームとともに販売されているほか、機能性表示食品においてはストレス・緊張の緩和や睡眠の質の向上などが機能性として挙げられています。その数は機能性表示食品の中でも群を抜いて多く、菓子やサプリメント以外にも、野菜や果実といった生鮮食品においても広く届出がされています。
おすすめ解析プラン
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