Metabolite of the Weekでは、みなさまの研究にお役立ていただけますよう、代謝物質の機能や役割について紹介をいたします。
今回はニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)について紹介をいたします。
ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド
- ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)は、ニコチンアミドとアデニンが2つのヌクレオチドによってつながった構造をもち、酸化型がNAD+、還元型がNADHと記載されます。NAD+とNADHは細胞内において多くの酸化還元反応に関係しており、直接的または間接的に、代謝、免疫機能、DNA修復、クロマチンリモデリングといった多様なプロセスに影響を与えます。
- NADHは特にエネルギー代謝において、ATP合成におけるプロトン濃度勾配を形成するために必要となり、解糖系やTCAサイクル、β酸化などによって生成されます。NAD+/NADH比(またはNADH/NAD+比)は、ミトコンドリアや細胞の状態を判断する指標としてメタボローム研究でもよく利用されています。
- NAD+は様々な酵素プロセスで補酵素として働きますが、基質として使用されることもあります。特にポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)では、NAD+を基質としてDNAにADP-リボースが付加されます。細胞内においてNAD+やNADHの需要は非常に高いため、生合成経路だけでなくサルベージ経路も利用して代謝物質量が継続的に維持されます。
- 生合成経路においては、摂取されたトリプトファンからキヌレニン経路を通ってキノリン酸が産生され、そこからNAD+の合成につながります。サルベージ経路では、ニコチンアミドからNMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)を経由してNAD+が合成されます。
- NAD+のレベルは加齢や病気によって低下することが報告されており、低下したNAD+レベルを回復させることで、病気の進行を遅らせたり、回復したりすることができる可能性が示唆されています。
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