Metabolite of the Weekでは、みなさまの研究にお役立ていただけますよう、代謝物質の機能や役割について紹介をいたします。
今回はタウリン(Taurine)について紹介をいたします。
タウリン
- タウリンはアミノ基とスルホ基を有する代謝物質で、ウシ(Bos taurus)の胆汁から発見されたことに由来して命名されました。カルボキシ基をもたないため狭義のアミノ酸には含まれませんが、アミノ酸の一種として言及する文献も見られます。
- 動物や昆虫、節足動物、藻類の生体中には多く含まれることが知られており、ヒトにおいては心臓や骨格筋、脳、網膜、胆汁などで特に重要な働きが知られています。その一方で、植物や菌類などにおける含有量は少ないとされています。
- タウリンは、肉や魚といった食物から摂取できるほか、含硫アミノ酸であるシステインからの生合成によっても得られます。この経路においては、システインがシステインスルフィン酸、ヒポタウリンと代謝された後にタウリンが産生されます。
- タウリンは抗酸化能をもち、活性酸素種(ROS)の産生を阻害するとともに、ミトコンドリア機能においても重要な役割を持ちます。タウリンの欠乏によってミトコンドリアの呼吸鎖関連タンパク質の発現量が減少し、ATP産生に影響が出ることが報告されています。
- タウリンは胆汁において胆汁酸と抱合し、抱合胆汁酸を形成します。コール酸がタウリンと抱合した際にはタウロコール酸となり、ウルソデオキシコール酸がタウリンと抱合した際にはタウロウルソデオキシコール酸となります。ヒトの胆汁酸の殆どはタウロコール酸とグリココール酸(コール酸がグリシンと抱合した物質)が占めています。
- タウリンは海外においてエナジードリンクによく配合されています。メタアナリシスでは、一定の条件下でタウリンの経口補給が運動能力に良い影響を与えることが示唆されています。日本においては基本的に医薬品扱いとなることから、タウリンを含む飲料は医薬部外品などとして販売されています。
- 心不全や高血圧などの心血管疾患、糖尿病や肥満などの代謝性疾患、MELAS(ミトコンドリア脳筋症・乳酸アシドーシス・脳卒中様エピソード)などのミトコンドリア疾患においてはタウリンの摂取・投与によって症状が改善するという報告がされています。
おすすめ解析プラン
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