Metabolite of the Week|尿素

Metabolite of the Weekでは、みなさまの研究にお役立ていただけますよう、代謝物質の機能や役割について紹介をいたします。
今回は尿素(Urea)について紹介をいたします。

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尿素

尿素

  • 尿素は、2つのアミノ基がカルボニル基で結合した有機化合物です。カルバミドと呼ばれることもあります。
  • ヒトにおいて、尿素は窒素の排泄を担う重要な代謝物質です。生体内で産生したアンモニアは有害となるため、尿素に代謝して蓄積した後に排泄されます。この尿素産生の過程では、肝臓における尿素回路が中心的な役割を果たします。
  • 尿素回路は、アンモニア(NH3)と二酸化炭素(CO2)からATPを消費してカルバモイルリン酸を産生する反応を起点として始まります。アンモニアの多くは、タンパク質異化の最終産物であるアミノ酸のアミノ基に由来します。カルバモイルリン酸はオルニチンと反応してシトルリンが産生し、シトルリンはその後、アルギニノコハク酸、アルギニンへと順に代謝されていきます。アルギニンはアルギナーゼの働きによってオルニチンに代謝されますが、その時に尿素が産生されます。
  • 尿素回路全体を通して見ると、1分子の尿素は2分子のアンモニアと1分子の二酸化炭素から産生します。アンモニア分子のうち1分子分は、シトルリンからアルギニノコハク酸が産生される際に導入されるアスパラギン酸に由来します。
  • 尿素はタンパク質の異化と尿素回路の機能活性を示すバイオマーカーとなり得るほか、腎臓疾患とも深い関連性があると考えられています。血中の尿素量の多寡が反映される血中尿素窒素(BUN)検査は、腎臓の機能の指標の一つとして利用されます。腎機能が低下して尿素が糸球体でろ過されなくなると血液中の尿素が増加し、BUN値が高くなることがあります。また、肝疾患やがん、感染症などでもBUN値が異常となることがあります。
  • 尿素は窒素排泄以外の生体内での機能が知られておらず、ヒトにおいてはタンパク質異化の最終生成物、あるいは廃棄物であると捉えられています。ただし生化学的には、高濃度の尿素水溶液はタンパク質などを変性させる作用が知られています。
  • 尿素を含む外用クリームは、魚鱗癬、アトピー性皮膚炎、湿疹、角化症、角皮症などの皮膚疾患の治療薬として処方されることがあります。また、市販品として、肌の角質の軟化や保湿などの効果を訴求した尿素含有のスキンケア製品が売られていますが、尿素の配合割合によって機能が異なることも報告されています。

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