Metabolite of the Weekでは、みなさまの研究にお役立ていただけますよう、代謝物質の機能や役割について紹介をいたします。
今回はグルタチオン(Glutathione)について紹介をいたします。
グルタチオン
- グルタチオンは、グルタミン酸、システイン、グリシンの3つのアミノ酸からなるトリペプチドで、体内のほとんどの細胞に存在します。システインとグリシンはペプチド結合でつながっていますが、グルタミン酸とシステインはペプチド結合ではなく、グルタミン酸側鎖のカルボキシ基とシステインのアミノ基がアミド結合しています。
- 細胞内でグルタチオンが新たに合成される場合には、まずATPを利用してグルタミン酸とシステインが結合し、γ-グルタミルシステインが産生されます。その後、更にATPを利用してγ-グルタミルシステインとグリシンが結合することでグルタチオンとなります。そのため、1分子のグルタチオン生合成には2分子のATPを必要とします。
- グルタチオンには、還元型(GSH)と酸化型(GSSG)の2つの型があります。酸化型(GSSG)は還元型グルタチオン2分子がジスルフィド結合によってつながった構造をしており、グルタチオンジスルフィドと呼ばれることもあります。細胞内のグルタチオンは通常、ほとんどが還元型で存在します。還元型(GSH)と酸化型(GSSG)の存在比率(GSH/GSSG比)は細胞の酸化還元状態と密接に関わっており、酸化ストレス条件下ではこの比率が大きく減少します。
- 酸化型グルタチオン(GSSG)は酸化ストレスの結果として蓄積され、細胞に対して直接的に毒性を示すことがあります。また、酸化型グルタチオンの産生などに伴って還元型グルタチオン(GSH)が枯渇すると、細胞のアポトーシスの引き金となります。GSHの枯渇は他にも、神経変性疾患、肺疾患、免疫疾患、肝臓疾患、嚢胞性線維症、老化など、様々な疾患や機能喪失とも関連することが知られています。
- 産生された酸化型グルタチオン(GSSG)は、NADPHの還元力を利用することで還元型グルタチオン(GSH)に戻ります。その際に働く酵素はグルタチオンレダクターゼ(グルタチオンジスルフィドレダクターゼとも)です。
- グルタチオンの重要な役割として、フリーラジカルの中和、抗酸化機能に関連する酵素の補因子としての作用、ビタミンC・ビタミンEの抗酸化能再生への関与、細胞や脳からの水銀の輸送、細胞増殖とアポトーシスの調節因子としての作用、ミトコンドリアの機能やミトコンドリアDNAの維持などが挙げられます。
おすすめ解析プラン
HMTでは測定したい物質や目的に合わせた解析プランをご用意しております。
今回ご紹介したグルタチオンを測定できるおすすめのプランはこちら
※試料中の存在量によっては検出できない場合もございます。
HMT担当営業がご希望をお伺いし、最適なプランをご案内します。 どうぞお気軽にお問合せください。
解析プランや具体的なアノテーションリスト(解析対象物質一覧)につきましては、 資料ダウンロードページからもご覧いただけます。