Metabolite of the Weekでは、みなさまの研究にお役立ていただけますよう、代謝物質の機能や役割について紹介をいたします。
今回はメチオニン(Methionine)について紹介をいたします。
メチオニン
- メチオニンは、非極性アミノ酸で脂肪族に分類されます。
- メチオニンは含硫アミノ酸であり、必須アミノ酸のうちの一つです。
- メチオニンはスクシニルCoA、ホモシステイン(hCys)、タウリンなどの物質の合成に利用されます。
- メチオニンはシステイン(Cys)の生合成にも利用されます。システインの炭素骨格はセリンに、硫黄原子はメチオニンに由来します。
- メチオニンはS-アデノシルメチオニン(SAM)の前駆体です。SAMは生体内のメチル基転移反応において主要なメチル基供与体として機能し、DNAやRNAなどのメチル化にも寄与します。
- メチオニンはヒトにおいては必須アミノ酸であり、生合成することはできませんが、いくつかの経路によって再利用することが可能です。その経路の一つとして、5-メチルテトラヒドロ葉酸-ホモシステインメチルトランスフェラーゼ(メチオニンシンターゼ)によりホモシステインと5-メチルテトラヒドロ葉酸からメチオニンが合成される経路が挙げられます。これは5-メチルテトラヒドロ葉酸を再利用できる唯一の反応です。また、ホモシステインからメチオニンが合成される反応として他に、ベタイン(トリメチルグリシン)のメチル基が転移する反応も存在し、こちらの反応はベタイン-ホモシステイン-S-メチルトランスフェラーゼによって制御されます。
- メチオニンを摂取することで血漿中のホモシステイン濃度が上昇します。血中のホモシステイン濃度は、心血管疾患のリスクマーカーとしても用いられています。
- メチオニンは哺乳類の代謝過程、自然免疫系、消化器系の機能の調節に関与します。
- 細胞内の遊離メチオニンやタンパク質中のメチオニン残基は、活性酸素種(ROS)によってメチオニンスルホキシドへと酸化され、タンパク質の機能異常等を引き起こします。産生されたメチオニンスルホキシドは、メチオニンスルホキシド還元酵素(Msr)の働きによってメチオニンに還元されます。
- 食事中のメチオニン含有量を減らす「メチオニン制限食」の効果にも注目が集まっています。動物実験においては寿命の延長やがんの抑制なども報告されており、今後の更なる研究が期待されます。
おすすめ解析プラン
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