キラル分析は、鏡像異性体を持つアミノ酸19種類のD-体およびL-体をそれぞれ解析するオプションです。
HMTが開発した誘導体化試薬は優れた鏡像異性体識別能をもち、19種類のアミノ酸のそれぞれの鏡像異性体を効果的に分離・個別に検出することが可能です。
鏡像異性体とは
分子構造的に鏡合わせの関係にある異性体のことを鏡像異性体と呼びます。
鏡像異性体の分子が存在する条件の一つに、結合している4つの置換基が全て異なる炭素原子である「不斉炭素」が存在することが挙げられます。
多くのアミノ酸は不斉炭素をもつことから、鏡像異性体(D-体およびL-体)が存在します。しかしこれらの分子は同じ分子量をもつため、通常の分析手法では区別できないことが殆どです。
生体内に存在するアミノ酸はほとんどがL-体で構成されており、生体内に極微量しか存在しないD-体は長らく着目されていませんでした。
近年、D-アミノ酸についての研究が進んでおり、一部のD-アミノ酸で呈味や神経伝達物質としての作用などL-体と異なる生理活性を持つことが示されています。また、D-アミノ酸は微生物により生合成されることが知られており、腸内細菌が宿主に供給するD-アミノ酸が生理機能の調整へ影響を与える可能性が研究されています。このようなD-アミノ酸の生体内での重要性に関する知見が増加しており、今後の研究の発展と共に医療や食品産業などへの応用も期待されます。
本サービスの測定対象は主にタンパク質を構成するアミノ酸のD-体およびL-体の相対面積値に加え、それぞれのアミノ酸存在量に対するD-体の存在割合を報告します。得られた結果は解析報告書にまとめ、Excelデータも納品いたします。