食品機能性と腸内細菌制御による予防・治療へ

近年、健康長寿社会実現のための予防医療へのニーズの高まりを背景に、日本食および素材の健康機能性開発や腸内細菌を標的とした
疾患の予防・治療を視野に入れた研究が進められています。
メタボロミクスも食品機能性の評価や腸内細菌叢の生体への影響の評価などで活用されており、日々成果も増えております。
本セミナーでは日本食の健康機能性や腸内細菌研究の第一線でご活躍されている先生方をお招きし、最新の研究成果についてご講演いただきます。

定員に達しました。(11/22)

現在キャンセル待ちのお申し込みのみを受け付けております。

日程・場所

場所 日時 定員
日本橋(東京) 12月15日(木)
13:40~17:00(受付開始13:20~)
80名

プログラム

13:40~14:00

メタボロミクスがつなぐ腸内細菌のクロストーク
ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ株式会社 溝口祥子

14:00~14:40

メタボロミクスを利用した食事や食品の機能性評価
東北大学大学院農学研究科 生物産業創成科学専攻 食品化学分野 都築毅先生

14:40~15:00コーヒーブレイク

15:00~15:40

メタボロミクスを利用したビフィズス菌の生理機能解析
森永乳業株式会社基礎研究所 腸内フローラ研究部   菅原宏祐先生

15:40~16:20

腸管IgA抗体による腸内細菌制御
奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス研究科応用免疫学教室 新藏礼子先生

プログラムは予告なく変更することがあります。変更した場合は当ウェブサイトおよびご登録いただいたアドレスまでご連絡いたします。

概要

日時 12月15日(木)13:40-17:00 (受付開始13:20~)
会場 日本橋ライフサイエンスハブ B,C会議室
住所 〒103-0022 東京都中央区日本橋室町1-5-5
アクセス
定員 80名
参加費 無料(事前登録をお願いします)

ビジネスイメージ―ファイルと資料

講演要旨

 

メタボロミクスを利用した食事や食品の機能性評価

東北大学大学院農学研究科食品機能健康科学講座 都築毅先生

近年、高齢化の進行は世界中で大きな問題となっており、それに伴う老化性疾患の増加が危惧されている。よって、その予防のための食品機能研究が必要不可欠である。「老化を遅延し健康に加齢すること」は個人のQOL(quality of life)の向上にとどまらず、社会的・経済的にも重要な課題となっている。我々は、「老化を遅延し健康に加齢すること」を達成する方法の1つとして、「日本食」に着目し、研究を進めてきた。そして、現代日本食に比べて1975年日本食は生活習慣病やがんを予防し、老化を遅延し、寿命を延伸することが示された。本講演では、我々が行ってきた日本食の健康機能に関する研究において、メタボロミクスをどのように利用し、どのような結果が得られたかを紹介し、その有用性や可能性について概説する。

メタボロミクスを利用したビフィズス菌の生理機能解析

森永乳業株式会社基礎研究所 腸内フローラ研究部 菅原 宏祐先生

ビフィズス菌はプロバイオティクスとして世界中で食品利用されており、腸内環境改善作用等の有益な作用を有することが知られている。その機序の一つとしてビフィズス菌による腸内代謝産物の変動が重要な働きを果たしていることが予測されているが、複雑な腸内環境におけるビフィズス菌の代謝やその代謝産物による影響については不明な点が多い。本課題解決に向け、我々は腸内代謝産物をより包括的に解析・解明するためのツールであるメタボロミクスを用いた研究を行った。本演題では食品企業におけるメタボロミクス実施例として、「ビフィズス菌の生菌体またはその加熱死菌による腸内代謝産物への影響を評価した試験」と「ビフィズス菌の生菌体によるヒト腸内細菌叢を介した腸内代謝産物への影響を評価した試験」の結果について紹介したい。

 腸管IgA抗体による腸内細菌制御

奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス研究科 新藏礼子先生

近年、腸内細菌叢の異常(dysbiosis)が炎症性腸疾患だけではなく多くの疾患の発症に関連すると報告されており、腸内細菌叢を改善することは健康維持に重要である。腸内細菌叢は腸管に分泌されるIgA抗体によって認識し制御されているが、各IgA抗体がどの常在細菌の何を認識して細菌叢にどのような変化を与えるのか、などその詳細は明らかではない。私たちはマウス小腸由来IgA産生細胞からモノクローナルIgA抗体をクローニングし、各クローンが認識する細菌由来分子を探索した。まず、単離したIgA抗体の中で、多くの種類の細菌に最も強く結合する能力を持つW27抗体に着目した。W27抗体が強く結合するのは大腸菌など悪玉菌の仲間であり、乳酸菌やビフィズス菌といったいわゆる善玉菌に対しての結合は弱かった。W27抗体は各細菌が持つ共通分子中の4アミノ酸の違いを識別しており、この特定のアミノ酸配列を認識して結合することで悪い菌の増殖を抑制した。一方でW27抗体は良い菌の増殖を妨げないので、全体として良い菌が優位になる腸内環境へと変化する効果が見られた。W27抗体を腸炎マウスに経口投与すると腸内細菌叢が変化し、その結果腸炎が抑制された。IgA抗体を腸内細菌叢改善薬として利用する可能性について議論する。

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