日本スポーツ栄養学会 第5回大会

概要

会期 7月21日(土)~22日(日)
会場 同志社大学今出川キャンパス良心館
住所 〒602-8580 京都府京都市 上京区今出川通り烏丸東入

 

ランチョンセミナー

日時 7月21日(土)12時10分 ~ 13時10分
タイトル 運動によって代謝のスイッチをオンにするタンパク質の発見:

PGC1α遺伝子改変マウスのメタボローム解析

演者 亀井 康富先生

京都府立大学大学大学院院生命環境科学研究科分子栄養学研究室  教授

座長 町田 修一先生

東京大学大学院農学生命科学研究科 特任教授

運動が身体に良いことは多くの人が知っています。適度な運動によって筋肉の代謝が活発になり肥満が解消されます。実際、生活習慣病の改善・治療のため運動療法が用いられています。一方、頭では運動が身体に良いとわかっていても三日坊主になって運動が続けられなかったり、あるいは病気で運動することをお医者さんに止められている人もいます。このような人たちのために、運動した時に身体(特に筋肉)でどのような分子変化が起こっているか理解することは重要です。というのは、その反応を起こす様な機能性食品や薬剤があれば、寝たきりの人の筋肉でも運動をしたのと同じ様な効果をもたらすことが理論上期待できるからです。

このような背景のもと、私たちは最近、運動によって代謝のスイッチをオンにする分子を見つけました。PGC1αという名前のタンパク質です。私たちは静岡県立大学三浦進司教授のグループと共同で、遺伝子操作によりPGC1αの量を筋肉で増加させたマウスを作成し、筋肉の性質を調べました。その結果、PGC1αによって必須アミノ酸である分岐鎖アミノ酸(BCAA)の代謝が活発になることがわかりました。BCAAは運動パフォーマンスを向上するサプリメントとして市販されています。PGC1αはBCAAの利用効率を上げて運動能力を増やすことがわかりました。またBCAAの他にも運動によって活性化することが知られている様々な代謝経路が活発になることがわかりました。すなわちPGC1αは筋肉で代謝を活発にするスイッチであることがわかりました。本研究成果は、運動持久能力を向上させるためのサプリメントや機能性食品の開発につながる可能性があります。また、筋肉の活性化と密接な生活習慣病や加齢によって生じる筋力・運動能低下(ロコモーティブシンドローム)の予防・改善のための研究につながります。

 

 学会の詳細は日本スポーツ栄養学会 第5回大会をご覧ください。

 

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